免疫力を高める

このページの監修医師

医療法人健身会

周東寛 理事長

免疫力を高めることで前立腺がんの転移を対策する方法について紹介しています。

免疫力とは

私たちが、細菌やウィルスなど病気を引き起こすさまざまな原因に囲まれて生活しているにも関わらず健康でいられるのは、なぜでしょうか?

これには、「免疫」が大きく関係しています。

免疫とは、細菌やウィルスなどの異物が体内に侵入してきた時などに、それに立ち向かって排除をし、健康を守ってくれる仕組みのこと。

病気の原因となる敵と戦って命を守ってくれている、とても大切な働きです。

免疫細胞の役割

では、具体的に、どのようにして体内から異物が排除されるのでしょうか?そのカギは、「血液」にあります。

血液の中には、大きく分けて「赤血球」と「白血球」の2つの細胞が存在します。酸素を運ぶ役割を担っているのが赤血球で、免疫を担っているのが白血球です

免疫を担う白血球は、1種類の細胞から成るのではなく、いろいろな役割を持った多種類の細胞(免疫細胞群)で構成されています。それらの細胞が相互に働き合い、チームプレーによって外敵と戦っているのです。

主な白血球(免疫細胞群)の種類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 樹状細胞…外気に触れる皮膚や鼻腔、胃、肺、腸管などに存在しており、異物を自身の中に取り込んでその特徴(抗原)を他の免疫細胞に伝えます。
  • マクロファージ…アメーバ状の細胞で、体内に侵入してきた異物を見つけると自分の中にそれを取り込み、消化(貪食処理)します。
  • T細胞…「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「制御性T細胞(レギュラトリーT細胞)」の3種類があり、お互いが働き合って、ウィルス等に感染した細胞を見つけ排除します。
  • B細胞…樹状細胞の指令を受けると、異物や外敵のみを攻撃する抗体を作ります。
  • NK(ナチュラルキラー)細胞···体内を常にパトロールし、ウィルス感染した細胞などを見つけると単独攻撃をします。

がんの再発・転移予防には免疫力が大切

身体の中の「免疫」の仕組みと、その働きを担う免疫細胞について解説をしました。病気などから身体を守り、健康に生きていくうえで重要なものであることもわかりましたね。

この免疫ですが、実は、がんの再発・転移を防ぐためにも非常に重要な役割を果たします。がん患者自身が備えている免疫力を回復・維持することが、がんの再発・移転の予防に役立ちます。そのメカニズムを、くわしく解説していきましょう。

がん転移と免疫力の関係

がん細胞は手術を行なっても完全に取り除けないことがあるため、再発・転移を予防するために、術後の一定期間、放射線や抗がん剤を用いたがん療法がよく行なわれます。

しかし、患者の免疫力が健全でないと、放射線や抗がん剤治療の効果が十分に得られないそう。体内に残ってしまったがん細胞を抗がん剤や放射線で一時的に叩いたとしても、免疫力が下がっていれば、がん細胞は再び増殖を始めてしまうといいます。

そのため、放射線や抗がん剤治療の効果を高めるには、自己の免疫力を回復・維持することも重要といえるでしょう。

免疫状態は、がんの発生だけでなく、がんの初期治療後における再発・転移においてこそ、その働きが重要な影響を与えると考えられています。

がん患者の免疫力低下の原因とは?

がんの再発・転移を防ぐには免疫状態が健全であることが重要だとわかりました。

ところが、がん患者は免疫力が低下した状態にあります。なぜなら、がん患者の体内には「免疫抑制細胞」が存在しているからです。

免疫抑制細胞には「MDSC(ミエロイド由来免疫抑制細胞)」「Treg(制御性T細胞)」などがあり、これらが異常に増殖することで、がん細胞に対する免疫応答がうまく行なわれなくなります。

どういうことかというと、免疫が健全な状態であれば、NK細胞やマクロファージががん細胞を攻撃対象の異物として認識し、その後Tリンパ球や抗体によりがん細胞への特異的な攻撃・排除が開始されます。しかし、免疫抑制細胞が増殖しているがん患者では、がん細胞を取り囲む免疫抑制細胞がブロックしているため、がん細胞への攻撃が十分に行なわれません。

免疫力を高める成分一覧

それでは、実際に免疫力のアップが期待できる成分を見ていきましょう。

乳酸菌

免疫細胞を活性化・成長(分化)させる作用、ウィルスと戦うための武器であるサイトカインを作り出すためのサポート作用などを持っている成分。乳酸菌含有の乳製品から摂取できるほか、乳酸菌配合のタブレットやドリンク、お菓子なども多く出回っています。バナナやきな粉、ハチミツなどには乳酸菌のエサとなるオリゴ糖が含まれるので、一緒に摂るのがおすすめです。

ビタミンA(β‐カロテン)

脂質の酸化を防いで細胞の健康を保つ抗酸化作用を持つ成分。粘膜を丈夫にしてウィルス等の侵入を防ぐ効果も期待できます。また、その粘膜で働く「IgA抗体」を増やして感染防御に働きかけたり、免疫調節機能を持つ細胞を増やす働きもあるそう。ニラやほうれん草、にんじん、小松菜など緑黄色野菜に多く含まれる成分です。

ビタミンC

免疫力の主体となる白血球の働きをサポート抗酸化作用も持っています。ビタミンCは一度にたくさん摂取しても必要量以外は体外に排出されてしまうため、3度の食事ごとにしっかり摂りたい成分。キウイやレモン、ブロッコリー、キャベツ、水菜、ジャガイモ、かぶ、大根、レンコンなどに多く含まれています。

ビタミンE

抗酸化作用の強いビタミンです。ビタミンEが多く含まれる主な食材は、アボカドや卵、かぼちゃ、アーモンド、モロヘイヤ、抹茶、植物油など。モロヘイヤやカボチャには同じく抗酸化力の強いビタミンCやビタミンAも豊富です。また抹茶はビタミンA・C・Eのほか亜鉛も多く含まれます。

ビタミンD

免疫システムを調整してくれる機能を備えている成分。ビタミンDが多く含まれている主な食材は、しめじやシイタケなどのキノコ類、さんま、サケ、ちりめんじゃこ、キクラゲなど。また、食事からだけでなく、肌を紫外線に当てることによっても体内で生成することができます。

亜鉛

体の中のミネラルが不足すると細胞が生きるために必要な酵素等がうまく働かなくなりますが、免疫に関しては、とくに亜鉛の不足が良くないとされています。亜鉛が多く含まれる主な食品は、牡蛎、豚レバー、赤身肉、納豆、ほうれん草、ニンニクなど。カボチャの種やカシューナッツ、豆類などにも多く含まれます。

マグネシウム

ウィルスに感染してしまった細胞を攻撃するにあたって重要となるミネラル。マグネシウムが多く含まれる食材としては、ほうれん草や大豆、アーモンド、蕎麦、なまこ、しらす干し、豆みそなどが挙げられます。

βグルカン

キノコに含まれる多糖類であるβグルカンは、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させたり、ストレスで低下するのを防ぐことができる成分。NK細胞が高いと、がんになりにくいと言われています。また、化学療法を行なうと免疫が下がりますが、NK活性を上げておくと感染症の危険が少なくなるそう。

ミトコンドリアについて

ミトコンドリアは、ほぼすべての生物の細胞に含まれている細胞内構造物の一つです。人間ひとりあたり数万と多くの数が含まれています。ミトコンドリアには、人間が生命活動を行うために必要なエネルギーを生産する貴重な働きがあるそう。エネルギーに変わる物質はATP(アデノ三リン酸)と呼ばれる高エネルギー物質が特徴。このATPをたくさん生み出すことで、生命活動を維持し筋肉を動かしたり、脳で考えたりすることができます。

本来、食事から摂取しただけではこのATPは生産されませんが、ミトコンドリアが細胞内活動することでATPに変換してくれます。結果、人間は運動したり、考えたりといった日常生活ができます。

また、ミトコンドリアは食事だけでなく酸素を取り込むことによってATPを生産しています。このように、人が活動していくためのエネルギーを生み出してくれることから体内における「電子力発電所」とも呼ばれるようになりました。ミトコンドリアを増やすように生活を整えることで、体のエネルギーを生産することができます。「体がだるい」「体が重い」と感じている方は、ミトコンドリアの生産が間に合っていないかもしれません。例えば、車にガソリンを入れても、エネルギーを生み出す内部の機器が正常に作動しないと動かないですよね。ミトコンドリアも車の内部の機器と同様に、エネルギーを動力に変える働きがある重要な器官ということを覚えておいてくださいね。

ミトコンドリアと免疫力

ミトコンドリアは、細胞の呼吸や体内のエネルギーを生み出す働きがあります。他にも、細菌や外部からのウイルスの侵入を防ぐ免疫反応において重要な役割を担っていることが研究結果から明らかになりました。

実際に、マウスを使った研究によると、ウイルスに対抗するための細胞を分泌するように、免疫部分へ伝達している反応が見られたとのこと。免疫細胞の一つであるI型インターフェロン(抗ウイルス性の免疫細胞)を増強して、体の広範囲にわたってウイルス耐性をもたらしていることが明らかになりました。

I型インターフェロンは、ウイルスの複製や増殖を抑制する働きが特徴です。さらに、NK細胞といったウイルスを除去する細胞も活性化させ、体内からウイルを排除してくれるでしょう。この研究によって、感染過程においてミトコンドリアが、体内に備わっている免疫色を引き上げてくれることが分かりました。

このように、ミトコンドリアには、ウイルスから体を守るために免疫力の強化に一役買っています。感染症やがんの再発、転移を防ぐためには体に元々備わっている免疫力を上げることが大事です。健康に過ごしていくために、ミトコンドリアを増やすように注力した生活を心がけてみてはいかがでしょうか。

「米ぬか多糖体」にも注目!

米ぬかに含まれている水溶性食物繊維を処理したものが米ぬか多糖体。

米ぬか多糖体は、必要な免疫細胞を活性化させたり、アレルギーなどの過剰反応を起こす免疫細胞を抑えたりと、「免疫調整作用」を持ちます。

実際、「前立腺がん」を含む異なるがん患者32人に1~2週間ほど米ぬか多糖体を摂取し、摂取前後のNK細胞活性を測定したところ、優位に上昇していることがわかっています。

監修医師からのコメント

すぐにでも免疫力を高める方法として、小腸(腸管)への温熱療法が有効です。 腸管は免疫力を作る働きがあります。白湯(お湯よりもぬるい水)を飲んで身体を温めてあげましょう。 そうすることで腸管の活動を良くしてくれます。
免疫力は不規則な食生活などで、膵臓が詰まってしまうことでも低下してしまいます。 白湯は膵臓を活性化させて出口の詰まりを解消する効果もあります。積極的に飲んでいきましょう。

周東寛 理事長

医療法人健身会

周東寛 理事長

参照元:健康コラム「免疫力の低下」 |すぎやま病院

参照元:免疫細胞の種類と働き |テラのがん免疫療法情報ガイド

参照元:がんの再発・転移予防には免疫力が大切 |再発転移がん治療情報

参照元:nature.com

食事で前立腺がんを転移させない対策を確認する

生活習慣で前立腺がんを転移させない対策を確認する

セカンドオピニオンで前立腺がんを転移させない対策を確認する

ペプチドワクチン療法

高知大学医学部免疫学癌ワクチン療法臨床試験事務局で開発された「ペプチドワクチン療法」。昨今、免疫療法を積極的に行う北島病院(高知県)やセレンクリニック東京(東京)など、全国の病院・クリニックでもがん患者に対して「ペプチドワクチン療法」が積極的に行われるようになってきました。その治療方法の概要を見てみましょう。

ペプチドワクチン療法とは

あらゆるがん細胞からは、WT1と呼ばれるタンパク質の一種が放出されています。体内に存在する免疫細胞は、このWT1の存在を検知してがん細胞に攻撃を加える仕組みになっているのですが、すでにがんが進行した患者の体内では、免疫細胞がうまくWT1細胞を攻撃できなくなっていることがあります。

この攻撃力をサポートするのが、WT1ペプチドワクチン。このワクチンを投与することで免疫細胞がWT1の存在を検知しやすくなり、免疫細胞によるがん細胞への攻撃力が増大。しかも、WT1は正常細胞から放出されることがほとんどなく、副作用は最小限。最新のがん免疫療法の一つとして、世界から注目されています。

ペプチドワクチン療法の成果

北島病院では、適応可能な患者に対し、2009年4月から積極的にペプチドワクチン療法を導入。同院の公式HPには、ペプチドワクチン療法の最新の治療成果に関する内容が掲載されています。

当院の最新の治療結果では効果判定のできる29例中13例44.83%に有効性が認められました。今後の去勢抵抗性前立腺がんに対する有効な治療法になる事が期待できる結果となりました。

引用元:北島病院「前立腺がんペプチドワクチン療法 」

引用文中にある「去勢抵抗性前立腺がん」とは、前立腺がんに対する一般的な免疫療法を継続した結果、徐々にその効果が薄れ、ほとんど一般的な免疫療法の効果がなくなった前立腺がんのこと。この症状にいたった患者がペプチドワクチン療法を受けた結果、その約45%において同療法固有の成果が見られたとのことです。

ペプチドワクチン療法を受けるための条件

ペプチドワクチン療法は、すべての前立腺がんの患者に適応できるわけではありません。北島病院では、同療法を受けることができる患者として、次のような条件を設定しています。

  1. 悪性固形腫瘍(前立腺がん)である方。
  2. あなたが他の重い病気にかかっておられず、全身状態が安定していること。
  3. いままで受けてきた治療(手術、抗悪性腫瘍剤、放射線治療など)で十分な効果が得られなかった。または自ら拒否をし、がんペプチドワクチン療法を希望している。
  4. 悪性腫瘍(前立腺がん)細胞にWT1が出ていること。
  5. このがんペプチドワクチンで治療を受けた患者さんの免疫システムが反応できるHLA-A 2402、-A 0201 、-A 0206のどれかをもっていること(日本人の約75%が含まれる)。

    →血液検査で調べます。

引用元:北島病院「前立腺がんペプチドワクチン療法 」

他の治療法での効果が今後見込まれず、かつ全身状態が安定している場合には、治療適応の可能性があります。

ネオアンチゲン免疫治療

がんの免疫療法を専門に診療しているアスゲンクリニック(東京MITクリニックグループ)では、上記ペプチドワクチン療法の応用的ながん治療法として「ネオアンチゲン免疫治療」を行っています。

ネオアンチゲン免疫治療とは

ネオアンチゲン免疫治療とは、免疫細胞ががん細胞を発見しやすくするための「内因性ペプチド誘導治療」、免疫細胞を活性化させる「サイトカイン誘導治療」、がん細胞の自死を誘導する「アポトーシス誘導治療」という3種類の治療法をミックスさせた免疫療法のこと。攻撃対象をあらわにするとともに免疫の攻撃力を増強し、あわせて相手に自滅を促すという治療法です。

それぞれの治療法ついて、アスゲンクリニックの公式HPから詳細を引用します。

内因性ペプチド誘導治療

転移を繰り返すいわゆる進行性のがん細胞は、活性化キラーT細胞からの攻撃を逃れるため、多くのケースで自分自身の目印となるMHCクラスI分子をがん細胞の中に隠してしまいます。

各種免疫療法等で、免疫力を高めても免疫機能ががん細胞を見つけられなくなり、がんの進行が収まらない理由はここにあります。

その隠れたMHCクラスI分子を引っ張り出し、免疫機能にがんの目印を教え続けることが、内因性ペプチド誘導治療です。

引用元:アスゲンクリニック「前立腺がん治療内容 - 前立腺がんネオアンチゲン免疫治療」

サイトカイン誘導治療

がんの目印であるがんペプチドを感知したナイーブT細胞より成長したキラーT細胞・ヘルパーT細胞は、キラーT細胞ががん細胞への攻撃役・ヘルパーT細胞がその補助役として動き出します。

サイトカイン誘導治療は、ヘルパーT細胞の働きと、がん細胞を攻撃するキラーT細胞の特性に注目し、サイトカインインデューサー(CS-82MD)の短期間内服によって行われます。

引用元:アスゲンクリニック「前立腺がん治療内容 - 前立腺がんネオアンチゲン免疫治療」

アポトーシス誘導治療

本来正常な細胞は、細胞に大きな異変が生じた際、ミトコンドリアによって自ら自滅を行おうとする反応、アポトーシス(プログラムされた細胞死)が発令されます。がん細胞が無限に増殖しつづける理由には、がん細胞がミトコンドリアに甚大な障害を与えているためであり、この改善が急務となります。

アポトーシス誘導治療は、電子供与体ES-27含有成分の内服によって、がん細胞の内部に備わったミトコンドリア内部の酸化的リン酸化、電子伝達系といったしくみの改善を促し、効果的なアポトーシスの発令をめざす治療手法です。

引用元:アスゲンクリニック「前立腺がん治療内容 - 前立腺がんネオアンチゲン免疫治療」

手術直後に「リスクチェッカー」を受けることを推奨

早期にがんが発見された場合には、手術による切除が治療法の第一選択となります。しかし、手術ですべてのがん細胞を取り除くことは困難であり、残留したがん細胞がやがて増殖・転移し再発にいたるケースも珍しくありません。

アスゲンクリニックでは、術後の患者に対し、がん高度精密血液検査システム「リスクチェッカー」の受診を推奨しています。「リスクチェッカー」とは、手術で取り切れなかったがん細胞の存在を検知することができるシステム。これによってがん細胞の残留を発見できた場合、早い段階でネオアンチゲン免疫治療を受けることにより、がんの再発予防効果が期待できます。

免疫療法の有効性を示した具体的な症例

前立腺がんに対する免疫療法の有効性は、すでに多くの症例において報告されています。以下、免疫療法を専門に行っている瀬田クリニック東京における前立腺がんの免疫療法の成果について、同クリニックの公式HPから2つの症例をご紹介します。

64歳男性・Ⅳ期前立腺がんにおける免疫療法の症例

【概要】

樹状細胞ワクチン療法、アルファ・ベータT細胞療法、ホルモン療法の3種類の治療法を並行して行った結果、ピーク時に152ng/mLだったPSA値が、18回の治療を経て10ng/mL程度まで低下。以後、状態は安定しています。

【治療までの経緯】

2004年9月に前立腺癌と診断され(PSA値152(ng/ml))、同年12月の骨シンチグラムとMRI検査で胸椎・腰椎・仙骨・肋骨に計12箇所の多発骨転移を指摘されました。ホルモン療法(酢酸リュープロレリン、インカドロン酸二ナトリウム、ビカルタミド)が開始され、2005年6月にはPSA値が14.8まで低下しましたが、7月以降に再上昇してきたため、免疫細胞治療の併用を希望し2005年8月2日に当院を受診されました。9月5日のPSA値は17.2と上昇傾向で、腰椎圧迫骨折により杖歩行の状態でした。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

【治療内容と経過】

ホルモン療法を続けながら、ペプチド感作樹状細胞ワクチン療法とアルファ・ベータT細胞療法を行うことになりました。(中略)4回目の治療終了後の2005年10月以降は鎮痛剤が要らなくなりました。(中略)PSA値は6回目の治療後に8.7まで低下しました。(中略)ホルモン療法剤をビカルタミドからフルタミドに変更して、樹状細胞ワクチン療法とアルファ・ベータT細胞療法を2週毎に18回まで続けました。腰椎の転移部分のMRIを見てみると、2005年12月14日と2006年9月11日で病変の大きさに変化はなく、安定していると評価されました。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

【考察】

9カ月に渡って骨転移巣の拡大進展を抑えられたと同時に、痛みと歩行の点で生活の質の改善が顕著に見られました。免疫細胞療法をホルモン療法に併用することで、効果の上乗せとPSAの抑制期間延長につながる可能性が示されました。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

68歳男性・D2期前立腺がんにおける免疫療法の症例

【概要】

抗がん剤とホルモン療法に加えて、ガンマ・デルタT細胞療法、アルファ・ベータT細胞療法などの免疫療法を途中から並行。約2年半にわたる治療の末、14.09ng/mLだったPSA値が正常値まで低下し、全身倦怠感や上腕の痛みが消失。状態は顕著に改善しました。

【治療までの経緯】

2006年1月に前立腺の一部を切り取り、顕微鏡で観察する病理検査を実施したところ(PSA値は138 ng/mL)、がんの悪性度(グレーソンスコア:最大10)は9で、非常に悪性度が高く、画像検査では上腕部の骨、及び大動脈のリンパ節への転移がみられ、ステージD2と診断されました。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

【治療内容と経過】

(ホルモン治療と抗がん剤治療を受けている中で)上乗せ効果を期待して免疫細胞治療を併用しました。骨転移のある症例に対する効果を期待して免疫細胞治療(ガンマ・デルタT細胞療法)を3回行いましたが、その後、細胞の増殖が悪くなったため、アルファ・ベータT細胞療法を2週間隔で実施しました。免疫細胞治療前まで上昇傾向にあったPSA値(14.09 ng/mL)は、ガンマ・デルタT細胞療法実施後に3.62 ng/mLまで低下し、その後のアルファ・ベータT細胞療法実施後も下がり続け、(その後)正常値となりました。

またPSA値の低下に伴って、全身倦怠感や上腕の痛みも消失しました。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

【考察】

本症例はホルモン療法と抗がん剤治療では限定的であった効果が、免疫細胞治療を併用することによる相乗効果で、PSA値の劇的な改善に伴って全身倦怠感や上腕部の痛みの消失が認められました。その後2年以上にわたり、全身状態が良好に維持されています。(中略)患者さん個々の病態に合わせた治療を選択して実施可能であることが、個別化医療において大変重要なことと言えます。

引用元:瀬田クリニック東京「前立腺がんに対する免疫細胞治療の症例紹介」

意見を参考にさせていただいた医療機関

この記事は、北島病院(高知県)、アスゲンクリニック(東京都)、プルミエールクリニック(東京都)、セレンクリニック東京(東京都)、瀬田クリニック東京(東京都)などが公表している情報を参考にして作成しました。

北島病院

北島病院
http://www.kitajima-hp.com/kitajima/top_kitajima.html
院長 北島 清彰
所在地 高知県高岡郡越知町越知甲1662
TEL 0889-26-0432
診療時間 8:30-12:30 / 13:30-17:00
休診日 土曜日午後、日曜日、祝祭日、年末年始

院長 北島清彰医師

泌尿器科がんの診断と治療を専門に、日々、多くの患者の診療にあたっている北島医師。高知大学医学部免疫学教室で開発された「がんペプチドワクチン療法」を採用するなど、最新の治療法を臨床で積極的に採用しているドクターです。医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医の資格も所持しています。

東京MITクリニックグループ アスゲンクリニック

東京MITクリニックグループ アスゲンクリニック
http://www.mitgroup.tokyo/
院長 宇野 克明
所在地 東京都中央区八重洲 2-5-6 KBYビル 3F・6F
TEL 0120-621-636
診療時間 月曜~金曜 10:00-17:00
休診日 土曜、日曜、祝日

理事長 宇野克明医師

1986年、東海大学医学部卒業。同年から東京女子医科大学、杏林大学、東海大学、ハルピン医科大学等、国内外の大学病院を中心に活動を続け、2012年、がん専門医療施設である東京MITクリニックを開院しました。従来の免疫療法をさらに一歩進めた「ネオアンチゲン複合免疫治療」を導入し、これまでの免疫療法の効果を遥かにしのぐ治療法の実践を目指しています。2016年、これまでの医療界への実績を評価され、紺綬褒章を授章。

プルミエールクリニック

プルミエールクリニック
http://premiereclinic.net/
院長 星野 泰三
所在地 東京都千代田区九段南3-2-12 エルミタージュタワー
TEL 03-3222-1055
診療時間 10:00-17:00
休診日 日曜、祝日

院長 星野泰三医師

1988年、東京医科大学医学部卒業。同大学院にて腫瘍免疫学を学んだ後、1994年からはアメリカ国立衛生研究所にて、がん遺伝子治療の研究等に従事し、1996年に帰国後は、QOLを重視した腫瘍免疫の臨床研究に着手。2002年にプルミエールクリニックを開院し、初代院長に就任しました。

『がんのプレシジョン免疫学 最適化治療の指針』(東邦出版)、『星野式温熱リンパ球治療』(メタモル出版)、『統合医療でガンを防ぐ、ガンを治す』(角川書店)、『スーパー免疫人間に生まれ変わる法』(講談社)など著書多数。

セレンクリニック東京

セレンクリニック東京
https://serenclinic.jp/
院長 木村 修
所在地 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町イトシア オフィスタワー11F
TEL 03-6206-3859
診療時間 10:00-17:00
休診日 月曜、・第2・第4火曜、日曜、祝日

院長 木村修医師

1990年、京都府立医科大学医学部を卒業。のち京都第一赤十字病院、京都府立医科大学病院を経て、2016年、セレンクリニック東京・福岡院長に就任。「樹状細胞ワクチン」をベースに、各大学の研究成果を採り入れた新しい樹状細胞ワクチン療法を推進しています。

日本外科学会専門医・指導医、日本小児外科学会専門医・指導医。京都府立医科大学にて特任教授を務めるなど、後進の指導にも熱心なドクターです。

瀬田クリニック東京

瀬田クリニック東京
https://www.j-immunother.com/
院長 瀧本 理修
所在地 東京都千代田区神田駿河台2-1-45 ニュー駿河台ビル 3F
TEL 03-5280-0086
診療時間 10:00-17:00
休診日 土曜、日曜、祝日

院長 瀧本理修医師

1989年、産業医科大学医学部卒業。札幌医科大学内科学を経て、ペンシルバニア大学ハワードヒューズ研究所研究員、札幌医科大学医学部准教授などを歴任したのち、2015年、瀬田クリニックに入職。同院にて診療を続けるかたわら、順天堂大学医学部にて客員教授を務めたのち、2018年より現職に就任しています。

日本内科学会会員総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本臨床腫瘍学会専門医・指導医、日本癌治療学会認定医など、悪性腫瘍に関連する専門医資格を多数保有する名医です。

免疫力アップさせる成分

RBS米ぬか多糖体
期待できる効果・効能

運営者情報ページ

医療法人健身会周東寛 理事長 医師監修

医療法人健身会
周東寛理事長

  • 医療法人健身会 理事長
  • 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科兼任講師
  • 獨協医科大学越谷病院 糖尿病内分泌・血液内科非常勤講師

監修者情報を見る