骨転移
このページの監修医師
医療法人健身会
周東寛 理事長
「骨転移(こつてんい)」についてくわしく紹介しているページです。骨転移の概要や原因、可能性の高いがんなど基本的な情報にくわえ、引き起こされる主な症状や、骨転移が起こりやすい部位などについてもまとめています。
前立腺がんの骨転移について知りたい方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
骨転移とは?
他の部位に発生したがんが、血液を巡って骨に転移巣をつくる病態が「骨転移」です。がん患者の中でも非常に多い病態として知られています。
医学用語では「転移性骨腫瘍」と呼ばれており、原発性骨腫瘍(骨肉腫)や骨髄腫、ユーイング肉腫といった、骨にもともとある細胞が腫瘍化する病気とは区別されます。処置についても違ってきます。
骨転移は、がんの診断時から判明するケースもあれば、治療経過中に発症するケースもあります。近年はがん治療の治療成績が向上しているため、長い治療経過の途中で骨転移が問題になるという人も増えているといいます。
肺がん、乳がん、前立腺がんなどから骨転移するケースが多いですが、全身のどの部位のがんであっても骨転移をきたす可能性はあるため、注意が必要です。
他の臓器への転移とは違って、骨転移そのもので生命を脅かされるようなことはありませんが、痛みや麻痺、骨折など、その症状によって療養生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)が低下することは間違いありません。
【骨転移の可能性が高い主ながん】
- 前立腺がん
- 肺がん
- 乳がん
- 多発性骨髄腫
骨転移の原因(メカニズム)
骨というのは、常に生まれ変わっています。古い骨を溶かす働きをする「破骨細胞(はこつさいぼう)」と、新たな骨をつくる働きをする「骨芽細胞(こつがさいぼう)」がうまくバランスを取りながら、日々骨を生まれ変わらせています。この破骨細胞と骨芽細胞のバランスが取れていれば問題ないのですが、バランスが崩れてしまうと、骨に異常が起こります。
実は、骨転移にも、この“破骨細胞と骨芽細胞のバランス”が関係しています。くわしく解説しましょう。
がん細胞は、ランクルと呼ばれる物質の生産を促し、そのことによって破骨細胞の働きを過剰に活発化させます。破骨細胞の働きが過剰に活発になって骨芽細胞とのバランスが崩れると、破骨細胞がどんどんと骨を溶かすことになります。骨の中にはがん細胞が成長するために必要となる成分がたくさん含まれており、がん細胞は、これらの成分を取り込みながら成長を進めていきます。
つまり、がん細胞が破骨細胞を活発化させて骨を溶かし、骨の中から必要な栄養を吸収して大きくなっていく…これが、骨転移のメカニズムというわけです。
破骨細胞とは
骨をつくる細胞のひとつ「破骨細胞(はこつさいぼう)」。もともとは血液細胞の一種ですが、ホルモンの刺激を受けることで骨の中で破骨細胞へと変わります。破骨細胞は、古い骨のカルシウムやコラーゲンを酸や酵素で溶かすのが特徴です。いわば、「建物の解体業者」のような働きをします。骨を家に例えると、カルシウムやコラーゲンは「セメント」や「鉄筋」。古くなったこれらを溶かし続けることで、新しくリフォームできるようにします。もしもカルシウムが不足したときは、破骨細胞が反応して骨からカルシウムを放出。ただし、放出し過ぎてしまうと「高カルシウム血症」が引き起こされ、さまざまな不調の原因となってしまいます。
骨芽細胞とは
骨組織の表面に並んでいて、新しい骨をつくる働きのある「骨芽細胞(こつがさいぼう)」。骨の「鉄筋」にあたるコラーゲンを作り出し、カルシウムを付着させるために必要な「のり」の役目があるたんぱく質を塗っていきます。そこに血液中から運ばれてきたカルシウムが自然に付着することで、新しい骨がつくられます。
骨芽細胞は骨をリフォームする「建築士」のような働きを行ない、コラーゲンから鉄筋をつくり、カルシウムでできたセメントを固めてくれます。古くなった骨を吸収する破骨細胞とともに、骨の代謝において重要な役割を果たす細胞です。
骨転移の余命
骨転移した場合に生命が維持できるかどうかを検討した研究は、そんなに多くありません。その中でデンマーク国民全員を対象としたデンマーク国立患者レジストリ(Danish National Patient Registry)に1997年から2007年に登録された23,087例の前立腺がん患者のうち、約3%にあたる569例が診察時に骨転移が認められています。骨転移がない患者の1年生存率は87%、5年生存率は56%です。一方骨転移があった場合は1年生存率が47%、5年生存率は3%となっています。特に骨転移と、麻痺や骨折などの骨関連事象(SRE)を有する場合の5年生存率は1%未満です。
また、アメリカのがん登録システムのひとつ「SEER Program 」が65歳以上の男性を対象に研究を実施。1999年から2005年の間に登録された126,978例の前立腺がん患者のうち1.7%は診察日に、5.9%の患者においては経過観察中に骨転移が認められています。相対的な危険度を客観的に比較するハザード比は骨転移と骨関連事象がない場合6.6、骨転移と骨関連事象ともにある場合は10.2という結果に。ハザード比は数が小さい方が好ましいとされています。
そのほかデンマーク国立患者レジストリ(Danish National Patient Registry)による乳がん35,912例による検討では、1,494例(約4%)の診断時に骨転移が認められ、骨転移がない患者の5年生存率が75.8%なのに対し、骨転移があった場合は8.3%。ただし、骨転移の有無と予後の関係は全身転移がある中での骨転移の有無による予後か、全身転移がない症例も含めての予後かによって変わります。遠隔転移を持った乳がん患者のうち、骨転移のみの患者と他の臓器への転移を持った患者との比較では、骨転移だけの患者の予後が良好だった報告があります。
胃がんや大腸がんでも乳がんと同じような傾向が認められており、骨転移のみの患者と他の臓器への転移を持った患者との比較では、骨転移のみの患者の方が予後は良好という結果になりました。そのほかのがん腫については生命予後に対する骨転移の影響による大規模な検討は存在していませんが、少数例を対象とした検討の多くで骨転移例は予後不良となっています。血液のがんである多発性骨髄腫では多くの症例で診断時より骨病変が存在するが、進展度は生命予後と関連すると考えられています。しかし、骨転移を有する症例の予後不良は、臨床病気が進行している可能性があると考えられます。
骨転移によって引き起こされる症状とは…?
がんの骨転移が生じると、痛みやしびれ、麻痺といった症状があらわれたり、骨折が引き起こされる場合もあります。もちろん個人差がありますが、これらの症状によって日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。どちらにしても、早期の治療をスタートすることが重要となるでしょう。
以下に、骨転移によって引き起こされる可能性のある、主な症状をまとめてみました。
痛み
骨には神経が通っていないため骨自体に痛みが起こることはありませんが、がん細胞が骨の外まで進展して、骨を包んでいる骨膜や周囲の神経を刺激してしまうと、痛みが生じることがあります。
はじめのうちは軽い痛みであっても、だんだんと強い痛みに変わっていくことが多く、転移した部位に体重がかかったり身体を動かしたりした時に強く痛むこともあります。
もちろん、病状や進行度などによって個人差があり、痛みがまったく起こらないケースもあるでしょう。
骨折
骨転移が起こっている場合は、骨が弱くなっています。そのため、ちょっとした力がかかっただけでも、骨折してしまうケースがあります。
骨が溶けて骨皮質が薄くなり、体重や筋収縮などの荷重に耐えられなくなって、骨折に至ってしまいます。
この症状は、がんの転移による「病的骨折」と呼ばれています。
神経障害
骨の周囲には大事な神経が走っていることが多いため、その部位に対応した神経の障害が生じるケースもあります。
とくに、脊椎(背骨:頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個と仙骨からなる)に病変が起こり、その中を走っている脊髄(背骨の内側にある神経束)を損傷するような状況になってしまうと、下肢の麻痺といった重大な神経障害につながることもあるといいます。
もし「足や手や動かしづらい…」と感じるようなことがあれば、すぐに担当の医師に相談したほうが良いでしょう。
高カルシウム血症
骨転移が起こると、骨が溶けてしまいます。がん細胞が「破骨細胞(古い骨を溶かす働きを持つ細胞)」を活発化させて、骨を溶かしてしまいます。そうすると、骨に含まれるカルシウム分が血液中に流れ出てしまい、血液中のカルシウム濃度が高くなります。この状態が、いわゆる「高カルシウム血症」です。
高カルシウム血症により引き起こされる主な症状としては、便秘、吐き気、嘔吐、食欲喪失、疲労といったものが挙げられます。また、口喝(口の中が渇く症状)や、意識障害などの重い症状が出るケースもあるため注意が必要です。
骨転移には種類がある?
ちなみに、骨転移は、骨の破壊のされ方によって3つの種類(「溶骨型」「造骨型」「混合型」)に分けられます。そして、その種類により、引き起こされる症状の傾向も違ってきます。以下に、それぞれの種類について、特徴を簡単にまとめてみました。
溶骨型
骨を溶かして弱くしてしまうケースです。他の型と比べると骨強度の低下が顕著であり、骨折のリスクや、骨の外にまで病変が拡大して麻痺を生じてしまうリスクが高いと言われています。腎がんの骨転移は、この溶骨型を示すケースが多いです。
造骨型
正常な骨を破壊しているのですが、逆に硬くなってしまうケースです。造骨型では、骨折が起こるリスクは比較的低いといえるでしょう。また、骨外に広がることも多くなく、麻痺も生じにくい傾向があります。前立腺がんは、この造骨型を示す代表格のがんです。
混合型
溶骨型と造骨型の2つの状態が入り混じっているケースです。溶骨型を示すことが多い腎がん、造骨型を示すことが多い前立腺がん以外のがんでは、この混合型か、溶骨型を示すことが多いです。ちなみに、肺がんや乳がんは、患者によって溶骨型が主体の場合、造骨型が主体の場合に分かれる傾向があるといいます。
緊急に対応が必要な骨転移の症状
骨転移の進行によって生じる麻痺や骨折といった骨関連事象(SRE)は、放射線治療法や整形外科的治療が必要な「骨転移通」「脊髄圧迫」「高カルシウム血症」「病的骨折」からなります。その中でも、脊髄圧迫と高カルシウム血症は緊急な対応が必要。これらの症状は軽症のうちは気付かれないことが多いので、注意深く診察する必要があります。
脊髄圧迫と高カルシウム血症の頻度は、がん腫によって異なるのが特徴です。
乳がん
- 高カルシウム血症 13%
- 脊髄圧迫 3%
前立腺がん
- 高カルシウム血症 1%
- 脊髄圧迫 8%
肺がん
- 高カルシウム血症 4%
- 脊髄圧迫 4%
脊髄圧迫
治療のタイミングを逃すと不可逆的な脊髄麻痺が生じるため、診断や治療は緊急を要します。背部痛や下肢の脱力感などの神経症状は、注意すべき徴候(ちょうこう)です。以下のような症状がある方は、注意してください。
- 体重減少
- 6時間以上続く痛み
- 治療抵抗性の痛み
- 進行性の下肢の脱力や知覚異常
- 荷重や咳で増悪する痛み
- 就寝時や安静時の痛み
- 残尿感
- サドル麻痺
- 失禁
- 肛門括約筋のゆるみ
骨転移の初期症状は気付きにくいので、症状がなくても定期的に診察を行なうようにしましょう。
骨転移が起こりやすい部位とは?
骨転移は、身体の中心部に近い骨(脊椎(背骨)、骨盤、肋骨、上腕骨、大腿骨など)や、がん細胞が初めに発生した部位の近くにある骨に起こりやすいと言われています。骨転移が起こりやすい部位というのは、がんの種類によっても違ってくるわけです。
前立腺がんの骨転移でいうと、肋骨や脊椎、骨盤に起こるケースが多いです。次いで、大腿骨に起こるケースが多いといいます。
ちなみに、前立腺がんは、がんの中でも骨転移が起こる頻度が高いと言われているがん。前立腺がんを患った人のうち、ホルモン治療抵抗性の場合、約85%の人に骨転移がみられるという報告もあります。
そのため、前立腺がんを宣告された場合は、骨転移を防ぐための対策を心掛けておく必要があります。
前立腺がんの骨転移に関する体験談
まもなく4年になるが骨以外の転移を防いでる
前立腺癌と仲良くさん
床擦れ防止のためにマットの交換をお願いしました
ゆかっぺさん(女性)
前立腺癌
骨転移…
昨日は、午前中床擦れ防止のために
マットの交換をお願いしました。
もう1ヶ月以上寝たままですから
お尻の辺りはかなり紅く、痛々しい。
ケアマネさんも来てくださって
交換の際あたしもお手伝いをしましたが
ずっと『痛い痛い』と言っていました。
エアーマットになって少しは痛みが軽減されればいいのですが…
引用元:筆談… | ★福よ来い★
ドセタキセル10回目の投与日
アグルさん(男性)
そして昨日はドセタキセル10回目の投与日、
白血球数4700、好中球数3323で、無事投与となりました。
その他検査項目は、
AST17(前回21)、ALT13(前回18)、γ-GTP55(前回54)と
基準値内。
いつも注目しているアルカリフォスファターぜ(ALP)は
746H(前回1266H)(°д°)ビッックリ。
久しぶりの3桁(笑)基準値で見たらまだ倍以上ですがね。
しかし、何があった?
前回ランマークを再開。
これの効果なのでしょうか?
過去に2回、放射線治療を受けたことがあります
アグルさん(男性)
僕は、過去に2回、放射線治療を受けたことがあります。
それはどちらも、骨転移による痛みの緩和を目的としたもの。
そのお陰で、PSAも下がるし、痛みを感じることもなく、
生活の質という面では非常に有効であったと感謝しています。
そして今回、入院中の5月23日(火)より”止血”を目的とした
放射線治療を受けています。
以前の放射線治療を骨盤内に照射をしていることもあり、
今回は上下左右の4方向から各0.5gyで、
1日2gyの15回の計30gyを予定していて、
週明けの月曜日で終了!(予定)
骨シンチでは新たな骨転移あり
アグルさん(男性)
腫瘍マーカーPSAは、27.01H(前回6.96H)ほぼ4倍増!
アルカリフォスファターゼは、2376H(前回1345H)。
その他、血色素量12.8L、ヘマトクリット39.5L、
アルブミン3.8L、尿酸3.5L、カルシウム8.6L、
LDH602H、CPK280H、
11月28日の数値になりますが、NTx濃度1039で、CRE換算値155.3H
もう笑うしかないくらいです。
骨シンチでは当然新たな骨転移あり。
それでもこのくらいは、想定内と言えば想定内だったのですが、
時間が押していたことともあり、簡潔に結論が述べられました。
「肝臓転移あり」Σ(゚д゚lll)ガーン
よって、全身治療すべきということで化学療法へ。
夜寝ていても寝返りの度に痛みで目を醒ます状態でした
アグルさん(男性)
経験された方はおわかりと思いますが、僕の場合は、骨(骨盤骨)に転移があったため、足の付け根特に内腿と大腿骨後ろ側が痛くて、入院前は、歩けない、横になっていても疼くような痛みや鈍痛があり、同一の姿勢を一時間続けることも困難でした。
夜寝ていても寝返りの度に痛みで目を醒ます状態でした。
くしゃみなどしようものなら揉んどりうっていました。
確定診断後、疼痛緩和治療としては、オキシコンチン錠と放射線の外部照射となりますが、これがことのほか効きました。
放射線治療は今日で4回目ですが、安静時であれば全く痛みは感じなくなりました。
ちょっと動いても大丈夫!
もしかして?なおった?そんな錯覚が。
でも歩こうとすると流石にこれは無理。
痛いというよりも筋力の衰えは勿論、骨が脆く弱っているために体重を片足で支えられない。
でも痛みがなくなることで、結構ポジティブに考えられるようになりましたし、本当に治るのではないかという希望が持てます。
これはこれで大事なことと思います。
あの真っ黒なMRIを見た後旦那の病室へ行くのが辛かった
顔晴れ(女性)
あの真っ黒なMRIを見た後
旦那の病室へ行くのが辛かった
先生から説明あったのも内緒
私 どう痛くない?
旦那 うん!部分麻酔で切り取る時のパチンッって言う音が怖かったぁ
私 ほほぉ 音がするんか
旦那 そやで まぁ今日は寝たきりやしご飯なしやし 寝るしかないわ
絶対に治すわな
私 そや!治すで!てか治るで!
と
気合を入れて病院を後に
帰り道
あれこれ考え
手術できん
転移してる
はぁぁぁ
ウルウル
医師と相談して、緩和ケアに移行する
castero1944さん(男性)
拘束時間が7時間疲れた。
骨に転移しているようだ。
詳しくはMR検査のあとになる。
医師と相談して、緩和ケアに移行する。
本当の終活となる。
明日から入院である。
最後の生き様を届けたい。
今日はとりあえず終わります。
痛みを感じたのは効いているのだと思っておこう
アグルさん(男性)
ドセタキセル4投目無事終了!
今回投与中、腰やアバラの骨転移箇所と思われるところに
痛みを感じたのは、
効いているのだと思っておこう!
次回投与は本来なら5月3日の予定となるのだけれど、
GWのため、1週飛ばして5月の10日、
GWは体調も良く遊べると思っていたら、
次回は変速で5月2日の投与予定となりました。
・゜・(ノД`)・゜・
考えれば、前立腺がんにおけるドセタキセルは3週ごとの投与が
推奨されている。
それを4週ごとで投与しているので、
その状況でもう1週開けるというのはリスクが高いのでしょうね。
さてさて、またしばらくおとなしくしておかないといけないかな(笑)
参照元:骨転移診療ガイドライン(PDF)
免疫力アップさせる成分
RBS米ぬか多糖体の
期待できる効果・効能