転移治療に伴う副作用と合併症

このページの監修医師

医療法人健身会

周東寛 理事長

前立腺の転移治療に伴う副作用と合併症について、くわしく紹介しているページです。

前立腺がんの転移治療に伴う副作用

前立腺がんの治療によって起こる副作用は、治療の種類によって異なります。以下に、主な治療(ホルモン療法、放射線療法(外照射・組織内照射)、化学療法)ごとに考えられる副作用をまとめてみました。対策を紹介しているものもあるので、あわせて確認してみてください。

ホルモン療法

ホルモン療法は、一般的に長期にわたって行なわれる治療です。そのため、副作用については事前にしっかりと把握しておきましょう。長く付き合うことになる可能性もあります。

主な症状として挙げられるのは、むくみや火照り、体重の増加など。

一過性のものであるケースが多く、だんだんと慣れてきます。しかし、治療の継続が難しくなるほど副作用が強い場合には、使用する薬剤を変更することもあります。

放射線療法(外照射、組織内照射)

外照射

治療中に現れる急性期のものと、治療終了から数年以上経って現れる晩期のものがあります。

まず治療中の副作用としては、尿が近くなる・出にくくなるといった排尿障害が一般的。治療後半に現れますが、一過性のもので、治療終了後2~4週間ほどで治まります。

晩期に現れるのは、直腸炎や放射線性膀胱炎による血尿・血便・痛み等。ひどい痔のある人は肛門・直腸における副作用が強く出ます。止血剤などでも治まらない場合や直腸出血が繰り返される場合は直腸鏡的にレーザーを用いて止血を試みることもあります。また、射精障害やEDといった症状も挙げられます。

組織内照射

治療直後に排尿困難の症状が現れたり、尿閉状態になるケースも。

化学療法

アレルギー反応

点滴を投与した直後から発疹や痒みといった症状が出る場合もあり、ひどいケースでは、不整脈や血圧低下、呼吸困難などを引き起こすことも。初めての投薬時に起こりやすい傾向があります。

<対策>アレルギーの症状が出たら、できるだけ早く看護師や医師に知らせましょう。

骨髄抑制

血液を生成する骨髄が化学療法の影響で障害を受けると、赤血球・白血球・血小板などの減少が起こります。これが骨髄抑制です。治療終了後1~2週間経った後で強い影響が現れる傾向にあります。

白血球の中でも、感染を防いでくれる「好中球」が減少することで、真菌や細菌への抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなることも。「好中球減少性発熱」といって、はっきりした感染の様子がないにもかかわらず熱が出るケースもあります。

<対策>手洗い・うがいはこまめに。身体はいつも清潔な状態をキープし、感染を予防しましょう。歯磨きも怠ることのないよう注意。また、人が集まる場所はなるべく避け、外出時にはマスクを着けるとよいでしょう。ケガなど、身体が傷付くことにも注意が必要です。そして、寒気や急な発熱、排尿痛などがあれば、医師に連絡をしましょう。

吐き気、嘔吐

悪心が出て、嘔吐してしまうケースもあります。この症状には脳神経への刺激が関係していますが、心理的要因も影響を及ぼしていると考えられています。

<対策>病院で制吐剤の処方がされるはずなので、きちんと服用しましょう。吐き気には、冷水でのうがいも効果的です。食事は無理せず、食べられるものを食べられる範囲で。症状がひどくて食事や水分がほとんど摂れない場合は点滴などでも対応してもらえるので、辛いときは無理をしないようにしましょう。

下痢

化学療法によって腸内粘膜が炎症や感染を起こし、下痢の症状が出てしまうこともあります。

<対策>消化のしやすい食事を心掛け、水分もしっかりと摂るようにしましょう。症状によって、病院から下痢止めが処方される場合もあります。また、めまいや尿量減少などの脱水症状がある、1日4~6回を超えるひどい下痢がある、数日間にわたって下痢が続いている、痛みや血の混じりがある…など、症状が重い場合には早めに医師に相談しましょう。

便秘

腸の働きを調節する作用を持つ神経に対して化学療法の影響が及ぶと、腸内の動きが弱まってしまうことも。それにより便秘が起こります。食事量が減ることによって便秘が起こってしまうケースもあります。

<対策>水分をしっかりと摂取しましょう。また、身体に負担のかからない範囲で、運動を心掛けることも大切になります。もし、あまりにも便秘が長く続いて「お腹が張る…」「苦しい…」という場合には、医師に相談をしてください。

口内炎

口内の粘膜に対する抗がん剤の作用や感染等によって、口内炎(口腔粘膜炎)が起きてしまうことも。具体的な症状としては、痛みがある、食べものがしみる…といったものが挙げられます。

<対策>化学療法をスタートする前から口内を清潔にしておくことが大切。口内炎の予防になります。歯周病や虫歯なども、可能であれば治しておきましょう。また、うがいをこまめに行なう、乾燥しないように気を付ける、といった心掛けも感染予防に有効。歯磨きは毎食後と朝夜にしっかりと行ない、なるべく柔らかいブラシのものを使うようにしましょう。食事に関しては、口の中の粘膜を刺激してしまわないよう、熱いものや辛いもの、硬いもの、アルコールなどの刺激物を避けます。もし痛みが出たら、我慢せずに医師に相談してください。炎症止めの薬を処方してもらえることもあります。

貧血

抗がん剤で造血幹細胞の機能が障害されると、赤血球の減少や消化管等からの出血によって貧血が起きてしまうことも。具体的には、だるさ、疲れやすさ、めまい、息切れなどの症状が現れます。

<対策>出血が原因となっている場合は、止血のための治療が行なわれます。ひどい貧血の場合は、輸血を行なうこともあります。めまいやふらつき、だるさなどの症状がみられる場合には、必ず医師に知らせましょう。

出血傾向

出血しやすくなる、一度出血すると止まりにくくなるといった症状も。歯茎からの出血や鼻血、皮下出血斑などが多くなります。これは、血小板の減少による影響。血小板が著しく減少している場合、消化管出血や脳出血も起こしやすくなります。

<対策>歯茎を傷付けないよう、歯ブラシは毛先が柔らかいものを。ケガや転倒にも注意が必要です。もし出血してしまったら、まずはタオル等で患部を圧迫して止血しましょう。ひどい場合は病院へ。

疲労感・だるさ

化学療法自体による影響にくわえ、貧血や悪心などの副作用も重なって、やる気が出ない・疲れやすいといった症状が現れることもあります。

<対策>調子が悪いときは無理せずに休養を。自分のできる範囲で家事や仕事をするなど、様子を見ながらうまく付き合うことが必要になります。

脱毛症状

毛の根元の細胞が影響を受け、脱毛が起こってしまうことも。抗がん剤の種類や投与量、使用期間、個人の体質などによって症状に差があります。髪の毛だけではなく、まゆげや体毛なども脱毛の対象。なかには頭皮の痒みや痛みが起こる人もいます。

<対策>脱毛の症状が現れ始めたら、帽子や医療用ウィッグをうまく活用するのがおすすめ。乾燥や直射日光などによるダメージにも注意をし、頭皮を保護することも大切になります。また、髪の毛を洗うときには、頭皮を強くこすって刺激しないよう注意しましょう。ぬるま湯でやさしくすすぎ洗いする程度が理想的です。

手足のしびれ感

指先・足先の違和感、痺れ、感覚の鈍りなどが現れることがあります。

<対策>感覚の鈍りによってケガや火傷をしてしまわないよう、十分に気を付けましょう。指先のマッサージや運動で血流を良くすることも大事。症状が強ければ、医師に相談を。

前立腺がんに伴う合併症

それでは、前立腺がんに伴って現れることがある合併症についても見ていきましょう。

尿失禁

前立腺がんの合併症として尿失禁が起こることも。

対策としては骨盤低筋体操が良いと言われていますが、膀胱の筋肉の作用を安定させて尿道括約筋の機能をアップさせる薬が処方されることもあります。

症状の改善が見られない場合、手動で排尿制御が行なえる「人工尿道括約筋」を手術で挿入するケースもあります。

性機能障害

勃起・性欲・性交・極致感のうち1つ以上が欠けるか、あるいは不十分な場合に性機能障害と呼ばれます。

性機能調節を行なう大事な神経や血管が手術などで損傷されると起こるよう。治療後に起こりやすい症状としては性欲減退、射精・勃起障害などが挙げられます。

治療中はこれらの機能を温存するため可能なかぎり神経を傷付けないよう注意されますが、がん細胞を残さないことを優先すると、それも難しいことがあります。

参照元:前立腺がん 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

参照元:前立腺がん|がんに関する情報|がん研有明病院

参照元:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(PDF)

参照元:薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る|がんになったら手にとるガイド [国立がん研究センター がん情報サービス]

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医療法人健身会周東寛 理事長 医師監修

医療法人健身会
周東寛理事長

  • 医療法人健身会 理事長
  • 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科兼任講師
  • 獨協医科大学越谷病院 糖尿病内分泌・血液内科非常勤講師

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