肺転移
このページの監修医師
医療法人健身会
周東寛 理事長
肺転移についてくわしく紹介。肺転移の特徴やメカニズム、原因、症状などについてまとめています。
前立腺がんの肺転移が気になる方はぜひ参考にしてください。
肺転移とは?
肺転移とは、他の部位に生じたがん細胞が肺に転移した病態です。
肺転移を起こしている場合、他の臓器にも転移をきたしているケースが多いです。根治は難しいと考えられており、長期予後を期待することはできないといいます。
治療方法としては、延命・緩和を目的に化学療法を行なうのが一般的。ただ、肺以外に転移がみられず、肺転移が単発あるいは少数である症例の一部では、局所コントロールによって生存期間の延長や根治が期待できるケースもあります。手術は可能なものの年齢・合併症・患者の希望等によって手術の選択が困難な場合は、ラジオ波焼灼術や放射線療法が検討されます。
【肺転移を起こす可能性の高いがん】
- 前立腺がん
- 結腸・直腸がん
- 乳がん
- 腎がん
- 子宮がん
- 頭頚部がん
- 骨・軟部悪性腫瘍
- 膀胱がん
- 胃・食道がん
- 肝がん
- 膵がん
- 卵巣がん
肺転移の原因(メカニズム)
身体に必要な酸素を取り込むための全身の血液が循環する肺。たくさんの毛細血管が血液のフィルターとなって働いている臓器です。そのため、他の臓器に生じたがん細胞が血流に乗っかると、肺で引っかかって肺転移が起こるケースが少なくありません。心臓から送り出された血液は身体中を巡り回って肺へと戻ってくるため、さまざまな臓器のがんが肺に転移しやすいといえるのです。
肺転移が起こる経路には、以下の3つがあります。
- 「血行性転移」…血管の中に入り込んだ他臓器のがん細胞が、血流に乗って肺で引っかかり定着するもの
- 「リンパ行性転移」…リンパ管の中に入り込んだ他臓器のがん細胞が、リンパの流れに乗って肺のリンパ節にたどり着くもの。
- 「経管腔性転移(経気道性転移)」…主に肺で生じたがん細胞が、気道の中を空気の流れに乗って、肺の他部位にたどり着くもの。
これら3つの経路のうち、ほとんどの転移性肺腫瘍が1つめの「血行性転移」だといいます。
肺転移によって引き起こされる症状とは…?
血流による肺転移の場合は、通常、それほど自覚症状がありません。原発腫瘍の検査や経過観察中に撮影した胸部エックス線画像などで発見されるというケースがほとんどです。
ただ、転移したまま放置してしまったり、気管支や気管支壁にまで進んでしまうと、咳や喘息、血痰、息切れなどの症状が現れることも。以下に、可能性のある症状を一覧で挙げてみました。
●血痰、肺炎、気管支炎…一週間経っても改善しない、悪化する咳が症状として挙げられます。がん細胞が気管支や肺を刺激すると現れる症状です。また、がん細胞が気管支を傷付ければ血痰が出ることも。さらに気管支を閉塞してしまうと、ゼイゼイした息が出たり、ひどい場合は肺炎や気管支炎といった症状につながることもあります。
●胸の痛み…転移性肺がんが肋間神経や肋骨に刺激を与えると、持続する胸の痛みが症状として現れます。
●呼吸困難…転移性肺がんが進行して太い気管支を閉塞したり、胸水が溜まって肺が小さくなってしまうと、呼吸困難が出る場合もあります。
●しわがれ声…転移性肺がんが声帯運動を支配する反回神経まで及ぶと、声がしわがれてしまうことも。
●首や顔の腫れ…転移性肺がんが大静脈を圧迫した場合は、血液戻りが悪くなることによって、顔や首に腫れが出ます。この状態を「上大静脈症候群」と呼びます。
●食欲減退、体重減少…転移性肺がんが悪化して体力がなくなってくると、食欲減退やそれに伴う体重減少、また疲労感なども出てきます。
肺には多くの毛細血管が張り巡らされており、リンパや血流に乗ったがん細胞が流れ込みやすい特徴があります。つまり、肺は他の臓器より転移が起こりやすい部位なのです。予防・対策はしっかりと行ないましょう。
参照元:転移性肺腫瘍 |日本呼吸器学会
参照元:転移性肺がんの基礎知識 |柏病院
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