生活習慣の改善

このページの監修医師

医療法人健身会

周東寛 理事長

近年、がんの発症リスクを高める要因は明らかになりつつあり、その要因を排除することによって、がんになりにくい身体に近づくことができます。つまり、がんの予防ができます。

一度がんを患ってしまった人でも、同じようにがんの要因になるものを日常生活の中から排除することで、再発や転移の予防につなげることが期待できるでしょう。具体的には、タバコをやめたり、お酒を控えたり、バランスの良い食事を心掛けたり、適度な運動を取り入れたり…といった生活習慣の改善が挙げられます。

以下に、その具体的な生活習慣改善のポイントを挙げてみたので、参考にしてみてください。

タバコを避ける

タバコには、なんと60種類以上の発がん性物質が含まれていると言われています。そのため、タバコを吸うことで、肺がんはもちろん全身のがんを発症する確率が高くなります。厚生労働省研究班による発表でも、「がんで死亡した男性の約40%、女性の約5%が、タバコが原因と考えられる」という推計がまとめられています(※11月14日付け「朝日新聞」夕刊)。またタバコは、がん細胞と戦うナチュラルキラー細胞の活性を下げることで、がんの転移を促すとも言われています。

さらに、タバコはがんのみならず、心臓病や脳卒中、糖尿病、高コレステロール血症、胃・十二指腸潰瘍など、さまざまな病気の原因となるものであり、まさに「百害あって一利なし」です。

ちなみに受動喫煙によっても病気のリスクは高まるので、他人のタバコの煙を吸わないよう気を付ける必要もあります。

日常的に運動する

運動によるがん治療への効果は明らかになっていませんが、適度な運動を継続的に行なうことは、ストレスを減らしたり、身体の代謝を活発にしたり、免疫機能を高めてくれる効果もあります。ぜひ、日常生活に適度な運動を取り入れてみましょう。

たとえば、デスクワークの人の場合であれば、合計60分程度の適度な身体活動(歩行など)をなるべく毎日行なうとともに、週1回程度は活発な運動(30分程度のランニングや60分程度の早歩き等)を心掛けましょう。日常生活をできるだけ活動的に過ごすという意識が重要です。

ちなみに、過度な運動は身体に負担となることもあり、精神的にもストレスになる可能性があります。運動の内容や程度は医師に相談すると安心でしょう。

飲酒量に気を配る

がんの再発予防において、完全禁酒を勧められることはほとんどありません。つまり、節度のある飲酒であれば問題ないということなのでしょう。 厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」で取り上げている「節度ある適度な飲酒」によれば、1日平均純アルコールで約20g程度が適切とされています。

主な酒類の換算の目安

お酒の種類 アルコール度数 純アルコール量
ビール
(中瓶1本500ml)
5% 20g
清酒
(1合180ml)
15% 22g
ウイスキー・ブランデー
(ダブル60ml)
43% 20g
焼酎(35度)
(1合180ml)
35% 50g
ワイン
(1杯120ml)
12% 12g

ただ、アルコールとがんの関係性については知っておきたいところです。

アルコールは体内でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、さらに肝臓内でアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解されます。そして最後は水と二酸化炭素になって排出されるのですが、アルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素の力には個人差があります。酵素の力が弱い場合、もしくは過剰なアルコール摂取によって分解されないまま体内に長く残ってしまった場合、発がんのリスクが上がると言われています。実は、分解されない状態のアルコールやアセトアルデヒドは発がん性を備えています。そのため、がんの再発予防において、お酒との付き合い方に注意が必要なのは間違いありません

適正体重をキープする

体重を適正な範囲でキープする(太り過ぎ・痩せ過ぎにならない)ことも、がんのリスクを下げるには必要なことです。

目安となる標準BMI(体重kg÷(身長m)2)は以下のとおり。

  • 中高年期男性…21~27の範囲内
  • 中高年期女性…21~25の範囲内

適正体重を維持するための具体的な方法としては、やはり日常生活の中に適度な運動を取り入れることが挙げられます。また、食生活の改善も大切。脂肪やカロリーの多い食事を摂り過ぎないよう、気を付けましょう。

ストレスを溜めすぎない

ストレスが溜まる理由

現在の社会構造や人間関係といった環境において、ストレスを感じたことのない方はほぼいないのではないでしょうか。ストレスによって腹痛や発熱、倦怠感など、身体に症状が出る場合が多々あります。なぜストレスからこのような症状が起こるか調べてみました。

暑さ寒さをはじめ、化学物質、騒音、人間関係といった外的ストレスは、不快感や生活のしにくさをひき起こします。

外的ストレスが積み重なると、NK細胞やマクロファージ、リンパ球といった免疫細胞の働きが弱まり、さまざまな疾患を引き起こすことが分かっています。

ストレスは万病のもと

ストレスによって免疫力が低下すると、感染症を引き起こすだけでなく、消化器系や循環器系に障害を与える場合があります。ストレスによる暴飲暴食や睡眠不足などの生活の乱れから、生活習慣病やアルコール依存症につながる可能性も少なくありません。

慢性の心理的ストレスが腸内細菌叢に影響を与えて、体内のIgA濃度を低下させたという報告があります。IgAは、全身の粘膜部分で活躍する免疫物質のこと。特定の細菌やウイルスだけでなく、さまざまな種類の病原体にくっつく守備範囲の広さが特徴です。腸内細菌叢のIgA濃度が低下することで、免疫力が落ちる可能性が高まります。

また、冷えも慢性ストレスのひとつです。身体が冷えて血管が収縮し血流が悪くなると、身体のすみずみまで栄養や免疫細胞が運ばれにくくなり、免疫力が低下します。

ストレスを溜めないことを心がける

身体や心にストレスを与える可能性を、少しでも減らすことが大切です。自分で気づかないうちにストレスを受ける場合もあるため、日頃からストレス解消に努めましょう。がん年齢といわれている40~50代の男性は、仕事では重要なポジションにあり、さまざまなストレスが降りかかることの多い時期です。免疫力が年齢的に大きく低下してくる時期と重なるため、がんになりやすいとされています。いつもの自分とは少し違う感じが続くようなら、一度専門機関に相談してみることで予防につながりますよ。

免疫力を高める

免疫力を高める方法はさまざまですが、そのひとつが「笑い」です。10人の男女を対象に、ユーモラスな映像を見た場合と教訓的な映像を見た場合で唾液中のIgA濃度を比較。教訓的な映像を見た後のIgA濃度は変化がありませんでしたが、ユーモラスな映像を見た後のIgA濃度は優位に上昇したというエビデンスがあります。日々の笑いは、免疫力を高めるのに役立ってくれるでしょう。

「楽観性」についてもこのようなエビデンスがあります。59人の健康な男性に免疫を刺激するワクチンまたは生理食塩水を投与して、30分間休養または心理ストレスを与えるグループに分けました。結果として、楽観的な思考の持ち主は心理ストレスにさらされた場合でも、ワクチンの抗体価が高まっていたことが報告されています。楽観的な思考の持ち主は、心理ストレスに対して抗体を作れると示されています。笑いや楽観性など、日常生活のちょっとした心がけで免疫力アップにつながります。

監修医師からのコメント

物理的な刺激は前立腺へ悪影響を与えます。 特に長時間の自転車、車での乗車や座り続けることは前立腺の血流を悪化させます。 血流悪くなった状態だと、食事や飲み物は血流が悪いところを避けて良いところにしか通らなくなり、転移のリスクが上がります。 前立腺に刺激を与え続けないように気を付けましょう。
タバコは血管を収縮させるので悪影響しかありません。転移を予防するには一刻も早く禁煙しましょう。
飲酒は血流良くして、エネルギー活性を高める作用もありますが、 有害物質のアセトアルデヒドを作ってしまうので、できれば控えた方がよいでしょう。

周東寛 理事長

医療法人健身会

周東寛 理事長

参照元:がん体験者の栄養と運動のガイドライン |がん情報サービス

参照元:免疫力低下の理由|大塚製薬

参照元:節度ある適度な飲酒|厚生労働省

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医療法人健身会周東寛 理事長 医師監修

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周東寛理事長

  • 医療法人健身会 理事長
  • 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科兼任講師
  • 獨協医科大学越谷病院 糖尿病内分泌・血液内科非常勤講師

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