画像診断
このページの監修医師
医療法人健身会
周東寛 理事長
前立腺がんの転移を確認する方法として、ここでは画像診断に関する情報をまとめています。
前立腺がんの転移を確認する3種類の画像診断
前立腺がんの転移の有無の確認を目的に行われる画像診断には、CT、MRI、骨シンチグラフィの3種類があります。それぞれの画像診断の概要、および、前立腺がん転移の診断におけるメリットについて確認しましょう。
CT
CTとは、体にX線を照射することで、体の断面図を映し出す装置のこと。一般的なレントゲン撮影も同じX線を使用しますが、たとえば胸部X線の場合、胸を正面から見たときの映像しか映し出すことしかできないのに対し、CTの場合は、胸を輪切りにしたような断面図の映像を映し出すことができます。得意分野は、脳出血や肺がん、肺炎、尿路結石などの発見です。
MRIに比べて短時間で広範囲な映像情報を得られる反面、MRIに比べると、正常な部分と病変のある部分との違いが明瞭ではないという弱点があります。
なお、CT検査では造影剤を使用するため、患者によってはアレルギー反応を示すことがあります。造影剤でアレルギー症状を起こしたことがある方は、事前に担当医へ伝えましょう。
前立腺がん転移の診断におけるCTのメリット
前立腺がんからリンパ節や肺などへの転移が疑われる際、CT検査は有効とされています。特に肺がんの転移を発見するのが得意とされています。
MRI
人の体は、究極的には原子の塊でできています。一つ一つの原子には原子核が存在し、それぞれ、磁力に対して異なった反応を示します。この反応の違いをコンピューター解析し、体内の断面図を映し出す装置のことをMRIと言います。CTは「X線」を利用して体の断面図を映し出しますが、それに対してMRIは「磁力」を利用して体の断面図を映し出す、ということです。MRIの得意分野は、早期脳梗塞や脳動脈瘤、内臓疾患、血管疾患、前立腺・膀胱疾患、子宮・卵巣疾患など多岐に渡ります。
CTに比べるとMRIは、病変部分と正常部分の違いが明確に映し出される点が特徴。一方で、CTよりも検査時間がかかる点や、小さな病変を発見するのが苦手な点がMRIの弱点とされています。
MRI検査においても造影剤を使用するため、造影剤アレルギーがある方は事前に医師に伝えておくことが必要です。
なお、体内に金属が存在する患者においては、原則としてMRI検査を受けられません。具体的には、心臓ペースメーカーなどです。美容外科における金属の糸を使用したリフトアップ手術を受けている患者については、MRI検査を受けられるかどうかの見解が分かれます。
前立腺がん転移の診断におけるMRIのメリット
がん細胞が前立腺皮膜より外に進展しているかどうかの確認、また、がん細胞の精嚢腺への浸潤などを確認する際、MRI検査が有効とされます。
骨シンチグラフィ
骨は、常に細胞の破壊と再生を繰り返しながら、その形を維持しています。ところが骨に何らかの異常が生じると、この破壊と再生のサイクルが乱れ、骨が増えすぎてしまったり(骨造成、骨硬化)、逆に骨が少なくなったり(骨吸収、溶骨)といった症状に陥ることがあります。
これら骨の造成サイクルに何らかの異常が生じていないかどうかを判断する検査が、骨シンチグラフィです。主に、がん細胞の骨転移や原発性骨腫瘍の診断、また骨折や骨髄炎、骨壊死などの診断に利用される方法です。
検査の流れは、基本的にCTやMRIと大きな違いはありません。薬剤を注射して薬剤が全身に行き渡るまで2~3時間安静にし、その後、専用の装置の上に仰向けになってカメラでガンマ線を測定して映像化します。
前立腺がん転移の診断における骨シンチグラフィのメリット
前立腺がんは、肺がんや乳がんと並び、骨への転移が多く見られる病気。よって、前立腺がんの骨への転移の有無を確認する際、骨シンチグラフィが積極的に利用されます。
前立腺がん画像診断に対する学会の見解
MRIと骨シンチグラフィについて、日本医学放射線学会および日本放射線科専門医会・医会は、「前立腺癌画像診断ガイドライン(2007年版)」にて次のような見解を述べています。
MRIについての見解
日本だけでなく、欧米においても前立腺がんの検査、および前立腺がんの転移の検査においてMRI検査は有効と考えられており、日本放射線科専門医会・医会が作成した前立腺癌画像診断ガイドライン(2007年版)においても、以下のように記載されています。
MRIは、前立腺癌局所病期診断において、最も信頼のおける画像診断として位置づけられている。欧米では画像検査を行う場合にも腫瘍のリスクを参考にして検査を選択することが広く認識されており、ガイドラインにも記載されている[EAU(European Association of Urology) guidelines on prostate cancer(2005)、ACR(American College of Radiology)appropriate criteria for pretreatment staging of clinically localized prostate cancer (2003)]。
骨シンチグラフィについての見解
日本医学放射線学会では、前立腺がんの骨への検査方法として、骨シンチグラフィが有効であると考えています。その一方で、PSA値が低く、骨転移の可能性が低い場合においては、必ずしも骨シンチグラフィを行う必要はないとも述べており、費用対効果と骨転移の発生確率の兼ね合いが判断基準となっているようです。
前立腺癌診断時のPSAが高いほど、骨転移を有する確率が高く、PSAが10ng/ml未満である場合は骨転移を有する確率はほとんどない。このため、費用対効果の点からも初発前立腺癌患者の骨シンチグラフィを全例に行う必要はない。
PSA値だけでなく、Gleason スコアも併せて考えると、治療前PSA20 ng/ml以上あるいはGleason スコアが8から10では積極的に骨シンチグラフィを行い、PSA10 ng/ml未満では必要ない。
なお、このガイドラインでは、MRIと骨シンチグラフィによる検査の有効性は詳細に報告されているものの、CTによる検査の有効性については言及がありません。
日本泌尿器科学会が公表している「前立腺がん検診ガイドライン」の2010年度相補版ではCTによる前立腺がんの有効性にも触れられているものの、近年ではCTよりも、MRIや骨シンチグラフィによる検査が主流となっている模様です。
ご意見を参考にさせていただいたクリニック
愛知県がんセンター中央病院

https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/
院長 | 丹羽 康正 |
---|---|
住所 | 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 |
TEL | 052-762-6111 |
初診受付時間 | 平日 9:00-19:00 土曜 9:00-13:00 |
休診日 | 土曜・日曜・祝日・年末年始 |
泌尿器科部長 曽我倫久人医師
日本日尿外科学会専門医・指定医、日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医など、多くの専門医資格を持つ前立腺がん治療のエキスパート。腹腔鏡などを使用した低侵襲の治療を得意とするドクターで、日本泌尿器科内視鏡学会代議員でもあります。
国立国際医療研究センター病院
泌尿器科診療科長 宮嵜英世医師
東京大学薬学部・医学部卒業。同大学附属病院講師や、帝京大学泌尿器科准教授等を経て現職にいたります。専門分野は泌尿器がん、前立腺肥大、尿路結石など。たとえ同じ症状でも、各患者に適した治療法を提案するドクターです。
ヘルスパーククリニック

http://www.bishinkai.or.jp/healthpark/
院長 | 伊藤 一人 |
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住所 | 群馬県高崎市矢中町188 |
TEL | 027-352-1111 |
診療時間 | 9:00-13:00 / 15:00-18:00 |
休診日 | 日曜・祝日。年末年始(12/31-1/3)・6月第2土曜日 |
理事長 黒澤功医師
岩手医科大学を卒業。群馬大学医学部泌尿器科、同大学附属病院泌尿器科医局長、富岡総合病院泌尿器科医長などを経て、昭和52年、ヘルスパーククリニックの土台となる黒沢医院を開院しました。日本泌尿器科学会評議員を務めるなど、泌尿器科学の重鎮として知られています。
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